2025年5月 ほとけのいとなみ

この詩にはさらに続きがあります。

にんげんが いつわりをしった日
にんげんが いかりをかんじた日
にんげんが にくしみをおぼえた日
そらは あおく
はるかぜは こうこうとふいていた

にんげんが かなしみ
にんげんが さみしがり
にんげんが 泣き通した日も
はなは野にみち
ことりは巣にこぼれ
むしはひかりに生れた

にんげんが ほとけのこころから
とおくとおくへだたって
わすれる日があろうとも
ほとけのいとなみは
うつくしく ふかく
ひも よも
にんげんのせかいを
つつんでいる

誰が書いた詩かは分かりません。私たちの心情と対比的に描かれる自然のいとなみがなんとも象徴的です。私たちが日々一喜一憂しているそばで、天地(自然)は一言も発することなく、ただ黙々といとなみを繰り返し、この世の真理なるものを私たちにみせています。会う者は別れ(愛別離苦)、人の気持ちは変わっていく(無常)ものだと私たちは頭では分かっていても、なかなかそれを受け入れることはできない、そんな苦しむ私たちをそっと見守り、包み込むほとけの存在・・・あまり説明しすぎるのも野暮なことです。