お盆のお祀りのポイントは…

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お盆のお祀りに欠かせないきゅうりの馬となすの牛。早く帰って来て欲しいからシュッとしたきゅうりの馬。お土産をたくさん載せて、ゆっくりとお帰り下さいとの思いからぼってりしたなすの牛。ほっそりしたナスの馬、ぽっちゃりしたきゅうりの牛でもいいのだろうか。時期ものでいえばズッキーニの馬と冬瓜の牛なんかでも・・・形でいえばバナナも適任な気が。日本人の毎日の生活に欠かせない動物として、かつては身近な存在であった牛と馬。そして手に入りやすい旬の野菜ということで、ほっそりの代表選手=きゅうり、ぽっちゃりの代表選手=なすということなのでしょう。小林一茶の俳句にこんな句があります。

 

すね茄子(なすび) 馬役を 相つとめけり

 

不本意ながらなすびが本来きゅうりが担うはずの馬役も勤めさせられて少々すねているのでしょうか。代役でも大丈夫なようです。

 

「お盆のお祀りはどのようにすればよいですか」という質問をよく頂きます。『仏説孟蘭盆経』というお盆の由来になっているお経があります。目連(もくれん)というお釈迦さまの弟子が母を餓鬼道の苦しみから救い出すという話が説かれています。その救い出す方法というのが、僧侶が雨季の修行を終える七月十五日に、様々な食べ物と果物を盛って、水を汲み灌ぐ器、香油、灯明、敷物を敷き、寝具を整え、世の甘美を尽くした食べ物を盆の中に盛り、修行僧に供養すれば、その仏道を修する人々のすぐれた力によって救い出すことができるというのです。「なにっ!世の甘美を尽くして供養せよですと…しかも僧侶に!?」お盆のお参りに来た僧侶をねぎらい盛大に接待せよというわけではないので、誤解なきよう。

 

お盆は仏教に由来がある行事とはいえ、日本古来の風習も色濃くミックスされており、地域色もさることながら家ごとにお祀りの仕方が違い、正解はありません。とはいえ何でもいいですというのが一番困る回答なわけです。ポイントは、賑やかしく飾りつけをして(提灯や蓮の華などももてなしアイテムの一つです)、時期のものをたくさんお供えするということです。久しぶりに帰ってくる方々をおもてなししようというのが一番の趣旨です。困った時はスーパーのお盆コーナーからチョイスされてもいいですし、故人の好きだったもの、いつもよりちょっとエエもんを一つお供えする。それもまたよしです。

 

昔、クリスマスに娘が、「サンタさんにお茶でも飲んで休んでいってもらう」と言って「プレゼントありがとう」と書かれた手紙と一緒にお茶をクリスマスツリーの傍に用意していました。

「サンタさん、忙しいからそんなゆっくりできないと思うよ」と言ったものの、今思うとお盆のお祀りもこのおもてなしの気持ちか・・・と思った次第です。